こんにちは、けんしんです。

みなさんは膵臓を検査していてこんな経験はないですか?

・胃の中のガスが邪魔で膵臓が全然見えない。
・膵体尾部のフォローの患者さんなのに見たい所がアーチファクトで見えない。
・ガスの影響を避けるために、脱気水を飲ませたりミルクティを飲ませたいしたいけど準備が大変。

 膵臓は胃の後方にありますので胃の内容物やガスの影響はかなり受けてしまいますよね?私も胃内ガスによる膵臓の描出不良にはかなり苦労しています。どうにか見えやすくならないかな?と常に思っています。

たった3分で膵臓が見えやすくなるかもしれない方法
 2019年10月号の超音波検査技術に「たった3分で膵臓が見えやすくなるかもしれない方法」が掲載されていたので紹介します。

 みなさん、なんだと思いますか?





 それは「左側臥位」です。これを3分以上行うことで胃内ガスが移動し、減少するらしいです。

どれくらい効果があるの?
 12人の健康な男性を対象に発泡剤を飲ませて胃内ガスを強制的に発生させ(ゲップをさせないように注意している)、CT撮影を行った後に仰臥位と左側臥位の2パターンで3分間放置した後に再度CTを撮影し胃内ガスの減少量を比較するという研究です。

 その結果、仰臥位のグループは胃内ガスが平均16ml減少したのに対し、左側臥位のグループは平均36ml減少しており、約2倍の効果がみられたそうです。

なぜ左側臥位で膵臓が見やすくなるのか?
 そもそもなんで左側臥位だと膵臓が見えやすくなるのでしょうか?胃内ガスの移動の様子をイメージしてみるとわかりやすいです。

 左側臥位で胃の幽門部が高い位置になり、そこに胃内ガスが移動する。
 ↓
 十二指腸へと胃内ガスが排出され、胃内ガスが減少する。
 ↓
 胃内ガスが減少したことにより膵体尾部の描出しやすくなる。

 こういったメカニズムがあるようです。

効果的な使い道は?
 この研究結果を実際の現場に応用するにはどうすればいいのかを考えていきたいと思います。

 タイトルでもあるように3分以上は左側臥位にしなければならないので、序盤や体位を変えてすぐの状態では3分も待たなければならない状況になってしまい、そのタイミングだと使いにくい方法ですよね?

 ですので私は、まず最初に仰臥位で膵臓を観察して、左側臥位にして肝臓、胆嚢、右腎などを観察してしまった最後に膵臓を観察するようにしていけばよいかと思います。そうすれば左側臥位にしてからいつも間にか3分以上が経過していると思うので、膵臓を観察するのに適したタイミングになるのでは?と思います。

 みなさんもぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?

~自己紹介~

超音波検査士けんしん
 平成元年生まれのゆとり世代の臨床検査技師。
 趣味は陸上短距離、読書、温泉、特撮(特に平成仮面ライダー)。

 仕事では超音波検査したり検体検査したり労働組合したりしています。

 2018年に2回の受験を経て超音波検査士認定試験(消化器)に合格。2度受験した経験から、知識を覚えるための勉強や症例レポートの作成には仕事をしながらだと時間が作れなくてかなり苦労しました。

 そういった経験からこれから超音波検査を勉強したり超音波検査士を受験したりする人が労力や時間をかけずに勉強できるようにと考え、自分が勉強した際のノートや問題、受験の際に提出した超音波検査実績、最近気になるトピックを公開しています。

 超音波検査ができる人が増えたり、超音波検査士取得を目指す人同士がつながれるブログになればいいなと考えています。
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