目次
【症例名】脂肪肝
【最終診断】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
1. 超音波検査所見
■肝臓
肝実質エコーはびまん性に増強し、腎皮質とのコントラスト増強(hepatorenal contrast)を認めた。 肝内脈管壁は不明瞭で深部エコーの減衰を認める。 肝腫大を伴うが限局性病変は認めない。
■胆嚢
胆嚢壁肥厚なく、内腔は無エコーで胆石・胆泥を認めない。 収縮不良所見は認めない。
■胆管
肝内胆管拡張なく、総胆管径は正常範囲内である。 壁肥厚や内腔病変を認めない。
■膵臓
膵全体の描出は良好で、大きさ・形態に明らかな異常を認めない。 主膵管拡張を認めない。
■腎臓
左右腎とも形態・大きさは保たれている。 水腎症や結石を認めない。 肝腎コントラスト評価において腎皮質エコーは正常である。
■脾臓
脾腫を認めず、実質エコーは均一で占拠性病変を認めない。
■その他
腹水を認めない。 腹部大動脈および下大静脈に異常所見を認めない。
2. 提示画像
【画像①】
【画像②】
【画像③】
3. 臨床情報
■患者背景
52歳、男性。健診にて肝機能異常を指摘され受診。 飲酒歴は機会飲酒程度。 肥満(BMI 29 kg/m²)および脂質異常症の既往あり。 自覚症状なし。
■特徴的な検査データ
- AST:42 U/L
- ALT:68 U/L
- γ-GTP:58 U/L
- HbA1c:6.4%
4. その他
■診断根拠
肝実質のびまん性高エコー化、肝腎コントラスト増強、肝内脈管不明瞭化および深部エコー減衰を認めた。 限局性病変や慢性肝障害を示唆する表面不整はなく、典型的な脂肪肝の超音波像と考えられた。
■鑑別診断
① 慢性肝炎
根拠:肝実質エコー変化を認めるが、表面不整や実質粗造化は明らかでない。
② 肝硬変
根拠:高エコー肝を呈する場合があるが、肝辺縁鈍化や脾腫、門脈圧亢進所見を認めない。
③ 薬剤性肝障害
根拠:肝機能異常を伴うことがあるが、特徴的な超音波所見や薬剤服用歴を認めない。
■補足情報
CTでは肝実質の低吸収化を認め、肝脾CT値比の低下を認めることが多い。 MRI-PDFFは肝脂肪含有率の定量評価に有用である。 近年はMASLD(Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)の概念が提唱されている。
■教育的ポイント
脂肪肝の超音波診断では「肝腎コントラスト増強」「脈管壁不明瞭化」「深部エコー減衰」の3徴が重要である。 超音波検査士試験では脂肪肝の重症度評価や慢性肝炎・肝硬変との鑑別が頻出であり、 正常腎皮質との比較評価を正確に行うことが求められる。




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